柔道・剣道の経験者は有利?採用前に道場に通ったほうがいい?
警察官になるためには、高卒で10カ月、大卒で6カ月の『初任科』と呼ばれる教育を受けることになります。
どこで?
もちろん『警察学校』ですよ。
そして警察学校では、術科訓練のひとつとして『柔道』または『剣道』の訓練を受けることになります。
「へー」なんて笑ってる場合ではありません。
警察学校の柔道・剣道の訓練は、高校の授業でやってきたソレとはまったく別次元!
もしあなたが「体力に自信がない」のであれば、ぜひともおすすめの生きる術を伝授します。
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【目次】
術科訓練は過酷を極める!
警察学校の術科訓練は「キツい」なんて生易しい言葉では語ることができません。
正直いって、メチャクチャにされます。
これは脅しではないんです。
本当にメチャクチャにされます。
私は、生まれて初めて人間がボロ雑巾のようになったのをこの目で見ました!
当時のことを思い出すと取り乱してしまいそうになりますが、本当にそれくらい過酷な訓練になります。
私が警察学校生だったころの柔道の師範は、超有名な世界的柔道選手T・Aさんのお父上。
岩のような巨大、唇には歴戦の証とも思える古傷、筋肉のつき過ぎで左右に揺さぶられるようにノシノシ歩く様…
学生の間では「子熊くらいになら勝てるのでは?」とウワサされるほどでした。
こんな方が、まさか「これから警察官になる」という血気盛んな若者に、チビッコ柔道みたいなソフトな訓練を課してくれるはずがありません。
もっとも近いイメージは、ヒグマがニコニコと川で手を軽く叩いてシャケを狩る姿です。
あんなイメージで、柔道経験者も未経験者もコテンパンにやられました。
「コテンパンに」という表現が古くさく感じるかもしれませんが、きっとあなたも感じるはずです。
「ホントに『コテンパン』という言葉がピッタリだ…」と。
柔道・剣道は選択式!強いのはどっち?
警察学校の術科訓練は、柔道・剣道の選択式になっています。
もしかすると、都道府県の運用によって多少の差があるかもしれませんか、全員に「両方を」と課すことができない「ある事情」があるからです。
さて、実際に警察学校での生活を経験した私がおすすめするのはどちらかというと、間違いなく『剣道』です。
剣道は、キツいといっても「人間ボロ雑巾」のようになることはありません。
手足が痛いとか、皮が剥けたとか、そんな些細なダメージしか受けません。
大げさかもしれませんが、柔道ばかりは「身の危険」を感じることになります。
- 高校の授業でやったから
- 小さいころに道場に通っていたから
- なんとなく体力がつきそうだから
こんな安易な理由で柔道を選ぶと、6カ月ないし10カ月の間、後悔の連続になります。
ただし、体力はつきます。
一対一の対人戦なら、柔道を身に付ければ相当なレベルの戦闘力を誇ることになります。
『逮捕術』という全員対象の術科訓練では、剣道選択者よりも明らかに柔道選択者のほうが強力です。
剣道選択者が言うには「間合いを詰められたらこっちの負け」だとか。
柔道をある程度できるようになると、手でつかめる範囲の相手にはそうそう負けることはありません。
このあたりが「警察官は強い」といわれている理由の1つです。
走る、跳ぶ、持ち上げるなどの体力面では消防官や自衛官のほうが強力ですが、個々の戦闘力については警察官のほうが対人戦に優れています。(ただし武器の扱いは自衛官のほうが上手です)
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経験者は採用試験でアドバンテージを得られる!
警察官採用試験には『武道採用』という枠があります。
柔道・剣道のほか、都道府県によっては弓道などほかの武道でも採用枠があります。
ただし、毎年の武道採用の枠は非常に小さく、地方では年に3~5人程度しか採用されません。
言うなれば「都道府県でトップクラスにならないとダメ」ということ。
部活動などで柔道・剣道をしている人の中には「将来は警察官に」と志している人が多くいますが、都道府県大会でベスト3程度の実力がないと合格は難しいでしょう。
しかも、採用試験は新卒に限らないので「過去のツワモノ」が受験してくる可能性もあります。
現実的に武道採用で合格するには、内定をもらうレベルじゃないと無理。
それならいっそのこと、武道経験者も一般枠で受験するほうが利口です。
一般枠でも、面接などの評定には確実にプラスに働きます。
同じ点数の武道経験者と未経験者であれば、間違いなく武道経験者が採用されます。
柔道・剣道に限らず、武道経験者、特にその中でも成績優秀な人はアドバンテージがあると考えてください。
かといって経験を積む必要はない?
「採用試験でアドバンテージを得られる」といわれると、真面目なみなさんはきっとこう考えるのでしょう。
「じゃあこれからでも道場に通ったほうがいい?」
たしかに、それはそうかもしれませんが…
はっきり言って「時間のムダ」になります。
もし、これまでに中学校・高校の部活動や個人の道場に通っていた方なら、ぜひ道場の稽古に参加してください。
たまにはいい汗をかくのも、採用試験合格の秘訣です。
二次試験の面接でも「以前通っていた道場の稽古にも参加しています!」といえることは良いネタづくりにもなるでしょう。
でも、わざわざ初心者が道場に通い始める必要はありません。
そんなことをしなくても、合格すればこれから毎日のように柔道・剣道の訓練が待っています。
わずかなアドバンテージのために時間と体力を費やすくらいなら、1問でも多く過去問を解いたほうが絶対に合格率が上がります。
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体力に自信がない人には剣道がおすすめ!
これまでにあまりハードなスポーツをしてこなかった人にとって、ここまでの説明は脅しのようにしか感じられないでしょう。
だって、コテンパンですから…
でも、それでも警察官になりたい!というあなたは、警察学校に入ったらぜひ剣道を選択してください。
剣道の稽古というのも、楽ではありません。
竹刀の素振りをすれば腕がちぎれそうになるくらい痛いし、裸足で板張りの道場を走り回ることになるので足の裏をすりむいたり皮が剥がれたりもします。
竹刀で打たれた場所はミミズ腫れになるし、面をつけ続けると頭痛がクセになったりもするでしょう。
それでも!
剣道選択者はまだ訓練が終わった後でも余裕があります。
柔道選択者がボロ雑巾になって部屋でダウンしていても、剣道選択者は次の行動に移るだけの余裕が感じられていました。
体力に自信がないなら、絶対に剣道一択です!
剣道選択のためにお金を貯めておく
剣道を選択する唯一のハードルは「お金がかかること」です。
親やきょうだいの防具があれば自前でも大丈夫ですが、もし自前の防具がなければ一から買いそろえる必要があります。
警察学校であっせんがありますが、それでも10~15万円くらいの出費は覚悟しておく必要があるでしょう。
【体力に自信がない人が術科訓練で生き残る術】
体力に自信がない→剣道を選択する→防具購入のためのお金を貯めておく
採用試験に向けた勉強をしながら、しっかりお金を貯めておきましょう。
訓練はキツイが自信は身に付く!
警察学校の柔道・剣道は、本当にキツイの一言です。
でも、その苦しみを耐え抜いてこそ、自らの身体と精神を鍛えることができます。
この訓練に耐え抜いたという自信は、後になって絶対に役に立ちます。
実際に現場に出るようになって、暴力団員やイキってるお兄ちゃんたちと対峙しても警察官がひるまないのは「権力があると思っているから」ではありません。
「こいつらが襲ってきても負けない自信があるから」です。
もし「強くなりたい!」と思うなら、あえて柔道を選択するのも良いでしょう。
私は、経済上の都合で柔道を選択し、警察学校生の間は非常に後悔しましたが、今となっては「柔道を選択してよかった」と感じていますよ。
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