公務員試験の合格を目指していると、試験勉強以外の情報収集も大切になります。
まあ、ちょっとした気分転換にもなることだし。
でも、あまり根も葉もない情報に惑わされるのも考えものです。
特に、警察官は『二世』のほうが合格に有利だ、という情報。
まず言っておきますが、この情報、完全にデマです。
なぜそう言えるのかを解説しましょう。
◾️index
1 『二世』の統計
2 『二世』の憂鬱
3 『二世』が警察官採用試験を受けた結果
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1 『二世』の統計
正確には統計ではありませんが、ここは実体験として語らせてもらいます。
私が某県の警察学校に入校した当時、同期生は私を含めてちょうど50人でした。
その中で、親が警察官のいわゆる『二世』の人数はなんと12人。
全体の24%を警察官二世が占めるという異常事態が起きていました。
かくいう私も、実は警察官二世。
というか、祖父が憲兵だったので、ほぼ三世みたいなものです。
ちなみに父は5人兄弟の4番目で、3番目・4番目・5番目は全員警察官でした。
さて、これは私の期だけの話なので、ちょっと統計としては信憑性に欠けます。
で、在職中に気になって諸先輩方にリサーチしたことがありました。
その結果、概ね10%程度は二世が占めていたという衝撃の結果になりました。
こんなことだから「二世のほうが合格しやすい」なんて言われてしまうんだなと納得をしました。
が、しかし!
この統計にはウラがあります。
2 『二世』の憂鬱
警察官の家庭は、都道府県内の異動が3〜5年に一度はある典型的な『転勤族』です。
さらに、交番員なら3日に1日は確実に親が不在、親が刑事でもやっていれば子どものうちは親と顔を合わせるのなんて朝食の時間だけです。
そんな家庭に生まれ育った『二世』たちは、思考が2パターンに分離します。
パターン① 「警察官に俺はなる!」
門前の小僧っていうじゃないですか。
父親の雄々しく誇り高い職業を見て育った二世たちは、小学校の卒業文集を書くあたりまでは100%の割合で「将来は警察官になる!」と書いてしまいます。
この思考が変わらないままで成長すると、ごく自然に警察官採用試験を受験します。
別に安定だとか公務員だからとか、そんなことは何の関係もありません。
たとえば、大工さんの息子が大工さんを目指してしまうのと同じです。
私が接してきた『二世』たちは、ほぼこのパターンでした。(自分も含めて)
パターン② 「あんな仕事、絶対にイヤだ!」
特に刑事の子どもに多い傾向ですが、引っ越しが多い、時間が不規則、休みがない…そんな親の姿を見ていると「俺は絶対にあんな仕事したくない!」と感じる二世がいます。
どっちかといえばこのパターンのほうが自然な思考だとは思いますが…
もちろん、このパターンの二世は絶対に警察官採用試験なんて受験しません。
親に無理やり受験させられた二世は、わざと試験問題を放棄する人もいます。(ホントにいました)
警察官の仕事の辛さを家庭で体感するなんて、かなりの感受性の高さがあるのでしょう…
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3 『二世』が警察官採用試験を受けた結果
またも実体験に戻りますが、私は警察官採用試験を合計で4回ほど受験しています。
うち、合格は2回です。
そう、2回も落ちたのです。
最初に合格したのは高校卒業見込みの時。
第一志望の大学と、警察官採用試験しか受験しませんでした。
だって、どっちに転んでも自分がやりたいことだったのですから。
大学受験向きの勉強をしていれば、都道府県職員の採用試験の学科問題なんて朝飯前です。
この時、私は面接で「できれば体力に自信がないから機動隊にだけは配属しないで欲しい」というミラクル発言をして、その夜、父親からこっぴどく説教されましたが、思ったとおりの合格でした。
2回目のチャレンジは大学卒業時。
私が大学卒業のころは、恐ろしいほどの公務員ブームで、警察官採用試験も公務員専門学校に行ってないと合格しないなんて噂されていました。
「そんなわけあるか!」と思って受験しましたが、あっさり不合格。
3回目のチャレンジは26歳の時。
一般の会社で働きながら「やっぱり自分がしたいと思っていた仕事をしよう」と思い立って受験しましたが、あえなく不合格。
ぶっちゃけ、この時は「二世のアドバンテージはないのか?」と思っていましたが、そんなものは存在しないことを知りました。
なんと、警察官採用試験の学科テストの採点は外部委託、しかも遠く県外の業者に委託するそうです。
こりゃゲタを履かせることもできません。
この事実を知って、初めて「真面目に勉強しよう」と思いましたが、仕事が忙しくなかなか勉強する時間を確保できないまま…
そんな中で4回目のチャレンジとなった27歳の時。
なんとか1次試験を突破したら、あとはトントン拍子で合格できました。
4回目のチャレンジの時、採用担当の職員さんとお話をすることができました。
最終面接の順番が一番最後になってしまい、待合室でひとり取り残された私に話かけてくれた…という流れです。
- 採点は外部委託
- 試験経過は採用担当者だけの極秘
- ちょくちょく「ウチの息子が受験するからヨロシク」と言われるけど手心を加えてクビになるなんてイヤだ…
という、緊張をほぐしてくれるつもりのお節介話が、面接前の私のハートを激しく締め付けて緊張を加速させたのは言うまでもありませんね…
合格したから良かったものの、もし不合格だったらその時の職員をきっと恨んでいたことでしょう。
4 まとめ
今回は「警察官になるには『二世』が有利」というデマを否定して、受験前のみなさんにご安心して頂くために、私の実体験を紹介させて頂きました。
最後にもう一度言っておきますが「二世が有利」という情報は完全にデマです。
だって、それなら私の2回目・3回目の時に合格させてくれても良かったじゃないですか。
警察官採用試験対策の勉強をしている方、ぜひ1次試験を突破するための勉強に集中してください!
体力・論文・討論・面接なんて、時間を割く必要がありません。
効果的な勉強で合格を手にして、私たちの街を守ってくださいね。
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